確定申告
「経費で落とすと税金が安くなる」というのは、なんとなく知っていました。ただ、実際にいくら変わるのかを計算したことはありませんでした。
去年の確定申告書を見ながら、経費を計上した場合としなかった場合で、所得税と住民税がいくら違うのかを出してみました。結果がこれです。
経費計上による税額の差
722,569円
所得税と住民税の合計・年間
月あたり約6万円
正直、ここまでとは思っていませんでした。経費を1万円計上するごとに、税金が約2,600円減っている計算になります。
面貸しで働いている美容師です。サロンとの契約は歩合のみで、取り分は60%。去年の数字はこうでした。
| 総売上(お客様からの合計) | 10,165,400 |
| サロンからの入金(60%) | 6,132,240 |
| 経費 | 2,755,758 |
| 事業所得(青色55万円控除後) | 2,826,482 |
この状態で申告した結果、所得税は89,950円、住民税は約22万7千円でした。合計で約31万7千円です。
同じ売上で、経費をまったく計上しなかった場合を計算します。
| 経費あり | 経費なし | |
|---|---|---|
| 事業所得 | 2,826,482 | 5,582,240 |
| 課税所得 | 1,762,000 | 4,767,000 |
| 所得税 | 89,950 | 536,943 |
| 住民税 | 227,415 | 502,991 |
| 合計 | 317,365 | 1,039,934 |
差は722,569円。104万円払うか、32万円で済むかの違いです。
ここで大事なのは、経費を計上しても、サロンからの入金そのものは1円も減らないということです。減るのは、税金の計算に使われる「所得」だけ。手元のお金が減るわけではありません。
税理士にお願いしているので、細かい判断は任せていますが、計上している項目はこのあたりです。
携帯も車も家も、プライベートでも使います。だから全額は経費にできません。仕事で使っている割合を出して、その分だけを計上します。これを家事按分といいます。
携帯なら、予約対応やSNSに使っている時間の割合。車なら、仕事で走った距離の割合。家賃なら、作業に使っているスペースの床面積の割合。いずれも「なぜその割合なのか」を説明できる根拠が必要です。
車をローンで買っているのですが、毎月の返済額は経費になりません。これは自分も最初は分かっていませんでした。
元本の返済は、借りたお金を返しているだけなので、経費ではないんです。経費にできるのは次の2つだけ。
240万円の車を買っても、その年に落とせるのは40万円ほど。そこからさらに事業割合で按分します。「今年は車を買ったから経費が多い」とはならないわけです。
もうひとつ、去年の申告で気づいたことがあります。基礎控除が48万円ではなくなっていました。
令和7年度の税制改正で、基礎控除が58万円に引き上げられ、さらに所得に応じた上乗せが入りました。自分の場合は事業所得283万円だったので、基礎控除は88万円。以前より40万円分、課税所得が少なくなっています。
| 合計所得金額 | 基礎控除(所得税) |
|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 |
| 132万円超 336万円以下 | 88万円 |
| 336万円超 489万円以下 | 68万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 63万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 58万円 |
住民税の基礎控除は43万円のまま変わっていません。所得税と住民税で控除額が違うので、税額を自分で計算するときは注意が必要です。なお、336万円以下の区分にある上乗せは令和7年・8年分の時限措置とされています。
青色申告をするには複式簿記での記帳が必要で、これが面倒で白色のままにしている人もいると思います。自分も最初はそうでした。
ただ、会計ソフトを使えば銀行口座やカードの明細が自動で取り込まれるので、実際の手間はかなり減ります。ソフトの費用は年1〜2万円程度。72万円と比べると、比較にならない金額です。
経費の計上漏れも同じです。レシートを取っておく、按分の根拠をメモしておく。それだけで数十万円が変わります。
自分の数字で確かめる 手取りシミュレータ 売上と経費を入れると、サロンへの支払い・税金・社会保険を引いた実際の手取りが出ます。経費を計上した場合としなかった場合の差額も表示されます。この記事の数字は、筆者本人の2025年分の確定申告書に基づく実数です。税額は個々の状況によって異なります。また、経費として計上できるかどうかの判断は、事業の実態によって変わります。個別の税務判断については税理士または税務署にご確認ください。