← TEDORILABS

確定申告

経費を275万円計上したら、
税金が72万円変わった話

2026年8月 / フリーランス美容師(面貸し)

「経費で落とすと税金が安くなる」というのは、なんとなく知っていました。ただ、実際にいくら変わるのかを計算したことはありませんでした。

去年の確定申告書を見ながら、経費を計上した場合としなかった場合で、所得税と住民税がいくら違うのかを出してみました。結果がこれです。

経費計上による税額の差

722,569

所得税と住民税の合計・年間
月あたり約6万円

正直、ここまでとは思っていませんでした。経費を1万円計上するごとに、税金が約2,600円減っている計算になります。

前提となる数字

面貸しで働いている美容師です。サロンとの契約は歩合のみで、取り分は60%。去年の数字はこうでした。

総売上(お客様からの合計)10,165,400
サロンからの入金(60%)6,132,240
経費2,755,758
事業所得(青色55万円控除後)2,826,482

この状態で申告した結果、所得税は89,950円、住民税は約22万7千円でした。合計で約31万7千円です。

経費を計上しなかったら、どうなっていたか

同じ売上で、経費をまったく計上しなかった場合を計算します。

経費あり経費なし
事業所得2,826,4825,582,240
課税所得1,762,0004,767,000
所得税89,950536,943
住民税227,415502,991
合計317,3651,039,934

差は722,569円。104万円払うか、32万円で済むかの違いです。

ここで大事なのは、経費を計上しても、サロンからの入金そのものは1円も減らないということです。減るのは、税金の計算に使われる「所得」だけ。手元のお金が減るわけではありません。

何を経費にしているか

税理士にお願いしているので、細かい判断は任せていますが、計上している項目はこのあたりです。

全額を経費にできるもの

事業で使う割合だけ経費にできるもの(家事按分)

携帯も車も家も、プライベートでも使います。だから全額は経費にできません。仕事で使っている割合を出して、その分だけを計上します。これを家事按分といいます。

携帯なら、予約対応やSNSに使っている時間の割合。車なら、仕事で走った距離の割合。家賃なら、作業に使っているスペースの床面積の割合。いずれも「なぜその割合なのか」を説明できる根拠が必要です。

勘違いしていたこと:車のローン

車をローンで買っているのですが、毎月の返済額は経費になりません。これは自分も最初は分かっていませんでした。

元本の返済は、借りたお金を返しているだけなので、経費ではないんです。経費にできるのは次の2つだけ。

240万円の車を買っても、その年に落とせるのは40万円ほど。そこからさらに事業割合で按分します。「今年は車を買ったから経費が多い」とはならないわけです。

2025年分から基礎控除が変わっています

もうひとつ、去年の申告で気づいたことがあります。基礎控除が48万円ではなくなっていました。

令和7年度の税制改正で、基礎控除が58万円に引き上げられ、さらに所得に応じた上乗せが入りました。自分の場合は事業所得283万円だったので、基礎控除は88万円。以前より40万円分、課税所得が少なくなっています。

合計所得金額基礎控除(所得税)
132万円以下95万円
132万円超 336万円以下88万円
336万円超 489万円以下68万円
489万円超 655万円以下63万円
655万円超 2,350万円以下58万円

住民税の基礎控除は43万円のまま変わっていません。所得税と住民税で控除額が違うので、税額を自分で計算するときは注意が必要です。なお、336万円以下の区分にある上乗せは令和7年・8年分の時限措置とされています。

記帳の手間と、72万円

青色申告をするには複式簿記での記帳が必要で、これが面倒で白色のままにしている人もいると思います。自分も最初はそうでした。

ただ、会計ソフトを使えば銀行口座やカードの明細が自動で取り込まれるので、実際の手間はかなり減ります。ソフトの費用は年1〜2万円程度。72万円と比べると、比較にならない金額です。

経費の計上漏れも同じです。レシートを取っておく、按分の根拠をメモしておく。それだけで数十万円が変わります。

自分の数字で確かめる 手取りシミュレータ 売上と経費を入れると、サロンへの支払い・税金・社会保険を引いた実際の手取りが出ます。経費を計上した場合としなかった場合の差額も表示されます。

この記事の数字は、筆者本人の2025年分の確定申告書に基づく実数です。税額は個々の状況によって異なります。また、経費として計上できるかどうかの判断は、事業の実態によって変わります。個別の税務判断については税理士または税務署にご確認ください。