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消費税・インボイス

業務委託の美容師が
売上1,000万円を超えたら考えること

2026年10月 / フリーランス美容師(面貸し)

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業務委託で指名が増えてくると、どこかで意識するのが「売上1,000万円」のラインです。ここを超えると、消費税の納税が始まります。ただ、いつから払うのか、どの売上で判定するのか、いくら払うのかは、意外と知られていません。

この記事では、1,000万円が近づいてきた業務委託の美容師が知っておきたいことを、消費税・インボイス・青色申告・法人化の順に整理します。

消費税がかかるのは「2年後」から

個人事業主が消費税を納めるかどうかは、2年前(前々年)の売上で決まります。2026年の売上が1,000万円を超えたら、消費税の納税が始まるのは2028年分からです。

つまり、1,000万円を超えた年には、まだ消費税はかかりません。超えたと分かってから、準備する時間が1年あります。

もうひとつ、前年の1〜6月の売上と、その期間に払った給料の両方が1,000万円を超えた場合も、翌年から課税になります。ただし、どちらで判定するかは選べるので、人を雇っていない美容師なら、給料(0円)のほうで判定すればこの条件には当たりません。

判定に使う「売上」はどれか

業務委託の美容師がいちばん迷うのがここです。お客様が払った総額なのか、サロンから入金される額なのか。

これは契約の形によって変わります。

たとえば総売上1,200万円・取り分60%の歩合契約なら、前者の考え方では自分の売上は720万円で、1,000万円には届きません。同じ働き方でも、契約書の書き方ひとつで課税になるかどうかが変わるので、契約書で「誰がお客様からお金を受け取るのか」を確認しておきましょう。判断に迷う場合は、税理士か税務署に確認するのが確実です。

消費税はいくらになるのか

美容業は、消費税の計算で「簡易課税」という方法を選ぶと、受け取った消費税の半分を納める計算になります(サービス業のみなし仕入率50%)。

税込売上1,100万円・簡易課税の場合

500,000円

年間の消費税の納税額の目安(税抜1,000万円 × 10% × 50%)

年50万円は、月にすると4万円以上です。消費税はお客様から預かっているお金という扱いなので、入ってきた売上を全部使ってしまうと、納税のときに困ります。課税になる年からは、売上の5%くらいを別の口座に分けておくと安心です。

簡易課税を使うには、その年が始まる前(前の年の12月31日まで)に「消費税簡易課税制度選択届出書」を出す必要があります。2028年分から課税になるなら、2027年中に出しておきます。

1,000万円以下でも関係ある、インボイスの話

売上が1,000万円以下でも、インボイスの登録をすれば消費税を納めることになります。業務委託の美容師がインボイスを気にするのは、サロン側が、登録していない美容師への支払いにかかる消費税を差し引けなくなるからです。サロンから登録をお願いされたり、報酬の条件の見直しを持ちかけられたりすることがあります。

インボイス登録で課税になった人には、負担を軽くする特例があります。カッコ内は、お客様から受け取った消費税のうち納める割合です。税抜売上600万円(受け取った消費税60万円)の場合で比べます。

納め方対象の年納税額
2割特例(20%)2026年分まで120,000
3割特例(30%)2027・2028年分180,000
簡易課税(50%)期限なし300,000

2割特例は2026年分で終わり、個人事業主は2027年分と2028年分に限り、3割特例が使えます。ただし、2割特例と3割特例は、インボイス登録をきっかけに課税になった人向けの制度です。2年前の売上が1,000万円を超えて課税になった年には使えないので、その場合は簡易課税か、通常の計算で納めることになります。

青色申告の「簡易簿記」も使えなくなる

2027年分からは青色申告のルールも変わり、2年前の売上が1,000万円を超えている場合、簡易簿記での青色申告の控除(10万円)がなくなります。複式簿記で記帳して、e-Taxで提出すれば65万円、さらに会計ソフトでの電子帳簿やデータ連携をしていれば75万円の控除が受けられます。

売上が1,000万円を超えるくらいになると、帳簿の量も増えます。消費税の申告も始まるので、このタイミングで会計ソフトに切り替えておくと、あとがかなり楽になります。青色申告の改正については白色と青色の記事で計算しています。

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所得が大きくなったら、法人化という選択肢

売上だけでなく、経費を引いた所得も大きくなってくると、個人事業主のままより法人にしたほうが、税金や社会保険の負担が軽くなる場合があります。個人の所得税は所得が増えるほど税率が上がっていくのに対して、法人の税率はそこまで上がらないからです。

どのくらいの所得から有利になるかは、家族構成や経費、自分にいくら給料を払うかで大きく変わります。目安として所得800万〜1,000万円あたりがよく挙げられますが、法人をつくる費用や、毎年の決算・税理士の費用もかかるので、数字で試算してから決めるのが前提です。

最近は、個人事業を続けながら小さな法人(いわゆるマイクロ法人)をつくる方法もあります。ただ、仕組みが複雑で向き不向きもはっきりしているので、自分でやるより専門家に相談したほうが確実です。

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まとめ

自分の数字で確かめる 手取りシミュレータ 売上と経費を入れると、税金と社会保険を引いた手取りが出ます。消費税の課税事業者になった場合の手取りも計算できます。

消費税の計算は簡易課税(第五種事業・みなし仕入率50%)と各特例による概算で、地方消費税を含みます。売上の判定方法や特例の適用条件は個別の契約や状況によって異なります。2027年分からの制度は令和8年度税制改正の内容に基づいています。個別の判断は税理士または税務署にご確認ください。